第57回映画を楽しむ会の開催(お知らせ)

上映作品:『フラガール』(2006年9月公開)

(李相日監督、2時間)

  • 日 時:2024年 3月21日(木)午後1時30分開会
  • 会 場:日野春学舎談話室(理科室)
  • 参加費:無料(飲み物などは各自ご持参ください)
  • 問い合わせ先:中村研一(090-9975-3571)若月雅英(32-8008)
           秋山幸子(090-7637-7356)秋山輝雄(090-2749-9660)

1960年代、日本のエネルギー源が、石炭から石油に転換する時代、筑豊、常磐、夕張など、戦後の日本経済をけん引してきた石炭産業が、次々と生産縮小を余儀なくされていく時代状況の中で、炭鉱労働者たちは失業の危機に追い込まれていました。常磐炭鉱でも閉山の嵐が吹き荒れ、これから地域がどう生き延びていくのか、試練に立たされていました。そこに湧きあがった構想が、豊富な温泉資源を活用した一大リゾートを建設することでした。地区にハワイアンセンターを設立し、炭鉱で働く家族の娘たちを特訓してダンサーに仕立て、フラダンスショーを披露すれば、若者の雇用創出にも貢献し、地域の人々にひとときの慰安を与え、さらに観光客を呼び込めると考えたわけです。

本作『フラガール』は、上記の実話をもとにオリジナル脚本を制作、李相日監督がメガホンを取りました。配役には、ダンスの指導者に松雪泰子、フラガールになる高校生役に蒼井優、その兄に豊川悦司、母に富司純子、ハワイアンセンター事業に賭ける元炭鉱夫に岸部一徳など芸達者がずらり。わけても初々しさの目立つ蒼井優が、フラガールになっていく高校生谷川紀美子を体当たりで演じ、高い評価を得ると同時に、人気も獲得しました。

舞台は昭和40年。「ハワイアンダンサーを求む!」の張り紙を見つけた炭住に生きる少女のダンサーへのあこがれから物語がはじまります。夢も希望もない炭住生活から抜け出て、華やいだ人生を実現したい、貧しい家族を自分の稼ぎで楽にさせたいという純真な思いが、因習のしがらみとの摩擦を乗り越えさせるエネルギーを育みます。しかし・・・

映画はその後いくつもの試練を登場人物たちに与え、泣き笑いの場面を次々に映し出します。娯楽作品ではありながら、社会と人間を考えさせる深みも供えた優れた芸術作品でもあります。映画『フラガール』は公開後、第80回キネマ旬報ベストテン第1位や第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞その他多数の栄誉に輝きました。そして興行的にも大成功を収めました。

ところで、
ここからは私事をひとこと。映画に出てくるハワイアンセンターには、わたしは仕事で何回か訪れています。宿泊もしました。フラダンスショーも楽しみました。屋内プールで泳ぎ、温泉にも暖まりました。当時、いわきの北転船(北洋操業の大型トロール船)船団の対ロシア漁業省渉外担当を引き受けていました。ロシア漁業規制局の監督官たちを接待するために招待したものです。ロシア人らはフラダンスに拍手喝采でした。おかげで北転船のカムチャッカ沿岸の北太平洋におけるトロール操業も、日本側の希望がかないました。

以上のように、私的にも因縁のある場所が映画の舞台ともなっていて、懐かしく、感情移入してしまいました。(文責:中村)

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